山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

見渡す限り、雪原は赤い布を結びつけた竹竿だらけ

      2016/12/26

307: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/11/06(日) 10:14:54 ID:+AN1Fcxp0
ふかふかの雪に膝まで潜りながら、ラッセルが続いている。
気温はマイナス10度前後だろう。
動き続けるには手ごろな気温だ。
西の空、高いところで雲が風に吹き散らされ、目に見える範囲で
3箇所ほど、山裾から湯煙のように雲が立ち昇っている。

天気が崩れる前に冬季小屋までは行けそうだ。
竹竿を細く割り、赤い布切れをつけた目印を要所で立てながら来た。
ここまで、何本使ったろうか。
天候の急変で方向を見失うような事でもあれば、その竹竿が頼りだが、
離れ過ぎず近過ぎずという加減が、案外難しい。

振り返る。
俺たちが歩いてきた経路に沿って、小さな赤い布切れが
ちらちら光っていた。

前方に冬季小屋が見えてきた。
頭上、灰色の雲が広がり始めていた。
晴天の名残など、すぐに失せてしまうだろう。

小屋をどこかへ運び去ろうという勢いの風。
壁に突き刺さり、めり込むような雪。
吹雪の一夜というのは、やはりどこかしら不安だ。
朝になっても吹雪はやまないが、多少は静かになっていた。
小屋の外にあるトイレへ行こうと扉を開けた。

308: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/11/06(日) 10:16:23 ID:+AN1Fcxp0
そこらじゅうで、小さな赤い布切れが光っていた。
風に吹かれ、しなった竹竿の先、赤い布切れが激しく揺れている。
その赤が、目にうるさい。
見渡す限り、雪原は赤い布を結びつけた竹竿だらけだ。
とても数え切れない。
トイレへの行き帰り、呆然とそれを見つめた。

風が強まり、視界が霞んだ。
あっという間に白一色の世界に引き込まれた。
赤い布切れなど、もうどこにも見えない。

晴れたら、俺たちが立てた竹竿以外、きっと残っていないだろう。
小屋に戻ってから、そう思った。

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