航空自衛隊のパイロットですが奇妙な体験をした
2016/03/11
それは私と僚機の二機で、地形慣熟飛行の訓練を行っていたときのことです。
場所は中国山地上空、時間帯は1800過ぎ、ちょうど地平線に太陽が沈むころでした。
そろそろ基地へ帰投する時間ということで、45°左バンク姿勢をとったんですが、
ふと地面の方向に目をやると、西日を浴びて陰影の濃くなった山の頂付近に明滅
する灯りが。
登山者か?
そう考えてあまり気に留めてなかったのですが、緊急信号の可能性もあるので一応
僚機に無線を送ったんです。
ところが、「いや、こっちからは視認できない」との無線が。
編隊の間隔はおよそ20mほどですので、私から視認できて僚機からできないというのは
ありえないはずなんですが・・・。
私は灯りが気になり始めたので、僚機にバンクの維持を命じ、その灯りの移動を確認しようと
考えました(移動してるなら緊急信号ではないはずですから)。
しかし、灯りが移動した感じもなく、いよいよ緊急信号かと思い、基地へ詳細を伝えるための
無線スイッチへ手を伸ばしたときでした。
HD越しに、その山を見ていたのですが、ふいに明滅する灯りが上昇し始めました。
当然頭の中は???状態。
その光る物体はフワフワと少しずつ上昇し、いよいよ当機と同じくらいの高度まで来ていました。
私は僚機に怒鳴るように同空域からの離脱を命じ、編隊を解して距離をとることにしたんです。
そして、その空域から20kmほどの指定空域まで離脱し、また光の方向に機首を向けたときです。
なんとすでにシルエットになった山の稜線から、無数もの光がフワフワと浮き上がっていました。
もちろん、すでに僚機も無数の光を視認しており、二機とも軽いパニック状態。
私は危険だとは感じませんでしたが、万が一を考えてできる限り距離をとろうと思い、再びバンク
に入った時でした。
ちょうど同じ高度に漂っていた光の群れが、ものすごい速さで急上昇を始めました。
なにか、まるで示し合わせたみたいに全くの同時に。
そして、あっという間にその光は薄紫の空の中に消えていきました。
私と僚機は、しばらく口をきけないまま周辺空域を飛び続けましたが、燃料がやばくなったらコトですので
あわてて基地に帰投して、上官の聴取を受けました。
やばいな、なんて説明すればいいんだろう・・・と、かなりびびっていましたが、上官が一言、
「今日のは記録には残さんからな、よくある事や。気にするなw」
後で聞いた話ですが、空の世界では、山から浮かび出る奇妙な発光体というのはよくある話だそうです。
もちろん私も僚機も初体験でしたが。
けっきょく同僚との話では、死者の魂なんじゃないか、という結論になりました。
空も不思議なことがたくさん起こりますが、山がらみの不思議な話ということで書かせて頂きました。
読みにくい文章ですみませんでした。