山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

小屋から今年も案内状が送られてきた

      2016/12/26

78: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/07/23(土) 06:59:35 ID:p6AlAS5F0
夏山開きの直前に店開きする小屋があり、今年も案内状が送られてきた。
年間、わずか4ヶ月ほどしか営業せず、残り8ヶ月は無人だ。

夏にスキーが可能という、かなりの山奥で、小屋の周辺に
雪が絶える事は、ほとんどなかった。
最近は、温暖化の影響で雪はだいぶ少なくなったようだが。

ずいぶん前、一度だけ、店開きを手伝った事がある。

まずね、出てってもらわなきゃあ。
残ってると、やっぱり気持悪いからね。
いくつかある部屋を回りながら、それぞれの部屋に声をかける。
彼が何をしているのか、見当はつく。
無人の間の小屋守に、お引取り願っているらしい。

窓を開け、布団を出し、避難小屋代わりに使ったパーティが
残したガラクタやら、忘れ物やらを箱詰めする。

ある大学の、山岳部の名前入りの忘れ物が多い。
「見たことないけど、たぶんね」と前置きして主人が話してくれた。
マナーが悪いと、脅かされるんじゃないかな。
で、大慌てで逃げていくから、忘れ物が多くなるんだよ、きっと。

79: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/07/23(土) 07:00:40 ID:p6AlAS5F0
確かに、大学山岳部のような、物品管理にやかましいグループで
ラジウスやグランドシートなど、大事な装備をいくつか
置き忘れるなど、普通は考えられない。

忘れ物の多い学校は、たいがい、二度と来ないんだ。
そう言う彼の言葉は、これまでの経験に基づいている。

お前さんは、脅かされないの?
訊ねる俺に、
やられてるのかもしれないけど、俺、霊感無いから。
彼はそう答えて笑った。

その日の夕食は、大皿料理だった。
飯も、おかずも山盛りにされ、いくつもの小皿がテーブルに置かれた。
霊感が無いという彼には、今年の小屋守が何人か、分からないらしい。
分かれば、ちゃんと茶碗に盛るんだけどさ。
お前、分からない?
いきなり聞かれたが、よく分からない。
無人の間によどんだ空気が、まだ小屋のあちこちに残っているような、
そんな感じしかしない。

翌朝、小屋を囲む万年雪には
山を下る足跡が、あった。

コメントする

出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1121734649/