斜面のあちこちに顔を出している石が、数年かけて露出し ごろんと転がり落ちる
2016/01/25
104: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/06/17(金) 22:41:11 ID:WJ4r3mS70
その崖は、石を産む。
斜面のあちこちに顔を出している石が、数年かけて露出し、
ごろんと転がり落ちる。
斜面が削れるわけではない。
地中から、何かの力に押されて出てくるとしか思えないという。
斜面のあちこちに顔を出している石が、数年かけて露出し、
ごろんと転がり落ちる。
斜面が削れるわけではない。
地中から、何かの力に押されて出てくるとしか思えないという。
石の大きさは両手で抱えられる程度で、村の娘数人が
山から運び降ろしてくる。
広場に石が据えられると、焚き火が始まり、炎は石を包む。
石の表面が熱で割れ、弾けて飛び散ると、村人はその破片を
拾い、皮で作った小袋に入れて御守にする。
この御守、持ち主の危険を察知し、持ち主の身代わりになって
袋の中の石が粉々に砕けるという不思議なご利益がある。
事故や大病で人が死ぬと、所持している御守を確認するのが
村での習慣になっているが、ほとんどの場合、石は砕けていない。
105: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/06/17(金) 22:42:20 ID:WJ4r3mS70
持ち主が大きな事故に遭ったり、大手術で助かっても、石が
砕けている事はなく、普通に日々を過ごしている中で
ある時ふと気付くと、石が粉々になっているのだという。
どうやら、持ち主が察知できない危険や、大変な災厄を事前に
取り込んで砕けてしまうらしい。
砕けている事はなく、普通に日々を過ごしている中で
ある時ふと気付くと、石が粉々になっているのだという。
どうやら、持ち主が察知できない危険や、大変な災厄を事前に
取り込んで砕けてしまうらしい。
そして俺の御守はどうかと思って見てみるが、石は何でもない。
小指の先ほどの平たい破片が、いつもどおり皮袋の中にある。
村民でない俺にはご利益がないのか、あるいは、いつか砕けるのか。
その時が来るまで分からない。