前方の森の中に三つの 明かりが 浮かんできた
2016/02/05
田舎で体験した話
夏休みで 田舎に行った俺は ある暑い晩
じいちゃん ばあちゃん に誘われて 山の中腹にある 畑に
花火をしに 行ったんだ
車でしばらく林道を登って行ったんだけど
月は出ていたが 月明かりも周りの木に遮られ 結構暗かった
俺は車の窓を開け 森の中から 聞こえてくる 虫の鳴き声なんかを
聞きながら 後ろの席で 身を乗り出して 森の中を見ていた
開けた 場所について 車は止まった
じいちゃんが 準備するから待ってろと 車を降りて
畑の脇を流れる 小川から 水を汲んだり ランプに 火を入れたりして時
俺は 車の中で 花火の入った袋を抱えて ニヤニヤしていた
ええぞ~ ってじいちゃんが 車まで 迎えに来てくれて
いよいよ 花火が 始まった ランプの やさしい光にじいちゃん達の 笑顔が
ぼんやり浮かんで見えて ちょっと不思議な そして楽しい時間だった
持ってきた 花火が 半分ぐらいに減った時 ちょっと休憩しようって事で
三人 並んで 座ってスイカを食べていた時のこと
前方の森の中に ポウー ポウー ポウーっと 三つの 明かりが 浮かんできたんだ
じいちゃんは その明かりを見て ほう~っと言った
俺は 人魂だ!!って言って ばあちゃんにしがみ付いた
するとじいちゃんは あれは人魂とは違う
狐がおまえを見に来たんだと言った
こんな時間に 山に子供が来る事は 滅多にないからな 珍しくて見に来たんだろ~な~
ってじいちゃんは 言っていたが 俺には人魂にしか見えなくて 大泣きして
花火は 中止して 変える事になった あの光を 見たときは 本当に怖かった…