愛宕山の山の神に逢った話

遠野物語より　管理者による超訳

愛宕山の頂には小さな祠があり、参詣用の道は林の中にあります。
登り口に鳥居が立ち、2、30本の杉の古木があります。
そのかたわらに、がらんとした堂がありまして、堂の前に「山神」の字を刻んだ石塔が立っています。
昔より山の神が出ると言い伝えられているところです。

和野の何某という若者が用事があって堂のあたりを夕方通りましたところ、愛宕山より下って来る背の高い人がありました。
誰だろうと思って林の木ごしにその顔を見ながら歩み寄っていくと道の角で行き違いました。
その人は驚いてこちらをみたのですが、その顔は赤く、目は輝いてとても驚いた顔をしていました。
若者はこの人は山の神だ、と思って後ろも見ずに村に走りつきました。

※遠野には山神の塔が多く立っています。
その場所はかつて山神に会った場所、または山神の祟りを受けた場所で
神をなだめる為に建てた石です。

コメントする