山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

何度も激戦が繰り広げられた山に踏み込んでから、寒気や痺れを感じ続けていた

      2017/04/30

669: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/04/13(木) 23:19:55 ID:nvZDufDn0
源平合戦の時代から明治維新まで、交通の要衝を見下ろす
その山では、何度も激戦が繰り広げられた。
そして俺は、山に踏み込んでから、寒気や痺れを感じ続けていた。
馬鹿でかい慰霊碑の前では呼吸が苦しく、顔を上げることさえ
できなかった。
慰霊など、これっぽっちもできてない。
慰霊碑の周囲は、それこそ、殺気の見本市だった。
手足ひとつ、首ひとつ、そんな言葉が空気いっぱいに満ちている。
毛穴を押し広げるように、それらの殺気が潜り込んでくる。

この山が激戦地になった大きな理由が、交通の要衝を抑えるという
地理的要因にあることは間違いないが、山に沁みついている、
古代からの刃の記憶が、ここで戦う男たちを血狂いさせたに違いない。

歩くほどに、じっとりした重い気配を俺たちは引き寄せ、引きずっていた。
それを感じているらしいのは俺だけで、他の3人はいつもどおりに歩いている。
俺は、休憩でもしようものなら、足元を何かが埋め立てていくような気がして
どうにも落ち着かない。
足首が木の根のように固くなり、その場から動けなくなりそうだった。

670: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/04/13(木) 23:20:33 ID:nvZDufDn0
テントを設営し、暗くなったあたりで、どうにも不快な感じが
拭えなくなった。
他の連中は食事の仕度だろうと何だろうと、テントの外へ出たがらない。
それぞれに奇妙な違和感や不快感を抱えていた。

風は強く、からからと石が鳴り、屋根型のテントの支柱が揺れ、
フライシートを固定する紐が外れたのか、テントの表地をぱたぱたと
叩く音が続いた。
全員が顔を見合わせ、曖昧に視線を外した。

入り口に一番近いのは、俺だ。
「開けていいか?」
友人3人の他、外の殺気に追われてテントの中に沁み込んできた
全員が、首を横に振った。

テントの外でも中でも、写真を撮ったら、何が写るだろう。
そう思い、結局カメラを手にすることなく終わった。

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出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1141220480/