山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

岩棚での昼食を食べているとカラビナの表面が凍っていた

      2016/12/25

436: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/01/18(水) 00:59:18 ID:Jw/mIAJh0
岩棚での昼食。
途中で休憩しなければ登れないほどの岩ではない。
たまには変わったところで食事をしたいと思っていただけだ。
古びてはいるが、しっかり打ち込まれたハーケンに細紐を
通し、カラビナで身体とつないだ。
幅30センチほどの平らな岩棚に座り、足は空中に
ぶらぶらさせている。
地面は、かなり下に見える。
これが真冬のビバークなら、足の指を、何本か凍傷で失うことに
なるだろうが、冬とはいえ、秋晴れの余韻を残したような
陽気の、初冬の昼飯時。
肌寒くはあったが、それさえ季節の味わいと思えた。

湯を沸かし、紅茶にはジャムをたっぷり入れ、
砕けたクラッカーを食った。

食事を終え、片付けを済ませ、ここで立小便のひとつもしたら
さぞ気持ちよかろうなどと話しながら、カラビナを外そうとした。

カラビナの表面が、凍っていた。
湯を沸かした時の蒸気が着いて、それが凍ったかと思ったが
それほどの気温でもないし、第一、カラビナを覆う氷の厚みは
2ミリや3ミリありそうだ。
カラビナのゲート開閉部を固定するロックも凍り、カラビナが
外せない。

437: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/01/18(水) 01:01:17 ID:Jw/mIAJh0
その場で多少、手間取った。
ナイフの背で叩いたりしてロック部分を覆う氷を取り除き、
カラビナを外し、細紐を解き、狭い足場に用心しながら立ち上がった。

パートナーに声をかけ、岩に手をかけようとしたとき、
落石の音が聞こえた。
ざざっという連続音。
大きくはないが、多くの石が急斜面を流れる音。

俺たちのいる場所の少し上を斜めに横切り、右斜め下あたりから
いくつも石が飛び出し、下へと消えた。
「危ねえな」
つい、声が出た。
次に思ったのは、カラビナが凍らず、すぐに動き出していたら
落石に巻き込まれたかもしれないということだった。

石が消えた方角、はるか下を覗いた。
初冬らしい肌寒さを感じながら、よく晴れた青い空を見上げた。

カラビナが凍るような陽気ではなかった。

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