山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

テントを張る場所が見つからなかったので廃屋に

      2017/03/10

573: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/06/08(木) 23:00:15 ID:bo11ZPF00
地図だけを頼りに山へ入り込み、地図上、平らな地形の
場所にテントを張る。
馬鹿馬鹿しいが、それはそれで面白い遊びだ。

それでも、見込み違いはある。
ガイドマップではなく、国土地理院発行の五万分の一や
二万五千分の一の地図から得られる情報は、やはり少ない。
それでも、ガイドマップなんざ使えるかよ、などと息巻いて
山をほっつき歩くことを、やめようなどと思ったことはない。

その日、テントを張る場所はついに見つからなかった。
寝る場所なら、あった。

絵に描いたような廃屋。
雨漏りは確実だろうが、屋根付きだ。
腐っているとはいえ、床板もある。
だがしかし、絶対に入りたくないと五感が告げていた。
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の全てが、その廃屋を
嫌がっていた。
だがしかし、嫌がっていたのは、俺だけだ。
他の連中は、屋根付きの優良物件に大喜びしていた。

壊れた玄関の引き戸をずらし、中へ踏み込んだ。
縁側の雨戸などすでになく、窓もなく、木漏れ日が
家の中を照らすでもなく、薄明るくしていた。
カビと、何やら酸っぱい臭い。
畳が敷かれていたであろう部屋を覗いて、虫酸が走り、
鳥肌が立った。

574: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/06/08(木) 23:01:42 ID:bo11ZPF00
床のあちこちに、卒塔婆が転がっているのだ。
散乱しているのではない。
きちんと並んでいる。
目を凝らし、俺は首をかしげた。
埃まみれの床板で足を滑らせると、足はそのまま
卒塔婆の上に乗った。
卒塔婆は転がっているのではない。
床板として、打ちつけられている。
卒塔婆は全部で四本ある。
俺たち一行は、四人。

その偶然に、なぜか足がすくんだ。

卒塔婆のことを告げると、そこで寝たいなどという
馬鹿者は、さすがにいなかった。
薄暗くなった山道を走るように逃げたが、最後尾を
行く俺は、背後の足音をずっと聞き続けていた。

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出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1146525531/