山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

部室には山行のたびに誰かが持っていく寝袋があった

      2016/12/25

615: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/02/05(日) 09:35:46 ID:30VtA+4s0
俺たちの部室には、寝袋がいくつもあった。
どれも古く、カビ臭く、あまり気分の良いものではなかったが、
在学中だけ山をやる者や、新入生が使うには手頃だった。

その中にひとつ、山行のたびに誰かが持っていく寝袋があった。
裏地には名前がマジックで書かれており、OB連中の話によれば
持ち主はバイク事故で死んだとのことだった。
それが本当かどうか、調べる方法はいくつもあるが、山岳部に
限らず、どこの部にもある話なので誰も気にしなかった。
野球部ならグラブやバット、テニス部なら古いラケットにまつわる
似たような話が語り継がれているだろう。

その寝袋を毎回山に持って行くのには、それなりの理由があった。
いわゆる部活動の山行では、楽しむことより鍛錬や訓練が目的化する
傾向があり、体調が万全でないと上級生でも苦しむ場合がある。

丹沢山地で焼山・黍殻山・蛭ヶ岳・丹沢山・塔ノ岳と歩き、
最後は大倉尾根を下るというルートを一日でこなしたこともある。
可能なら、という条件付きで塔ノ岳の後、大山まで行くことも計画に
含まれていたが、さすがにそれは無理だった。
馬鹿げた行程だが、当時はそう思わず、計画どおり歩くことに
熱中していた。

616: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/02/05(日) 09:37:07 ID:30VtA+4s0
誰かが疲労でぐったりしてしまうと、この寝袋の出番だ。
「バテたか、寝袋出せ」
というのが決まり文句で、寝袋に押し込み、ほんの少し休ませると
疲労がとれ、驚くほど体調が良くなる。
気の持ちようだろうとは思うが、確かに不思議なほど効いた。

OB会と称した大宴会が催された時、十以上も年齢の離れた
初対面の後輩に、その寝袋のことを訊ねた。
彼は、その年の卒業生だった。
「毎回、持って行きますよ」
今でも効くのか?
質問を重ねると、一度だけ世話になりましたと答えが返ってきた。

話をするうち、気付いたことがある。
彼がいう「魔法の寝袋」は、裏地にマジックで名前が書かれていない。
持ち主がバイク事故で死んだことは変わっていなかったが、どうやら
長い間に、別の寝袋とすりかわったらしい。

ま、そんなもんだろうなと、俺は思った。

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