山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

死んで捨てられた動物が水浴びを見たら桃の実を穴に投げ込む

      2016/03/20

691: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/11/25(金) 00:25:36 ID:MHsaDjSl0
かつて、死んだ家畜は山へ捨てていたという。
どういった理屈によるものか、水源近くの急流に投げ込み、
死んだ家畜が、災厄をもたらすのを防いでいたと聞かされた。
今では家畜以外のペットなども、死ねばそこへ捨てているという。

捨てるという表現はどうかと思うが、地元でそう表現するには
やはりそれなりの理由があるのだろう。

死んで捨てられた動物が、夏の盛り、水浴びをする。
急流に首まで漬かり、暑さをしのぐ。
それを見たら、桃の実を穴に投げ込むよう言われた。
動物が追いかけてくるからね。
桃はどこに?
穴はどこに?
行けば分かるというのが、答えだった。

水浴びが行われる急流脇に、テントを張った。
今夜あたり水浴びするんじゃないかと、皆、そう言っていた。
見られるものなら、予定を変更してでも、それを見たいと思った。
見えなくても、それで良いと思った。

崖の下に桃の木が植わっていて、青い、小さな実をつけていた。
よく枯れずにいるものだ。
穴はそのすぐ後ろだ。
奥行きは2メートルもない。
穴というより、えぐられた跡のようだった。

692: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/11/25(金) 00:26:20 ID:MHsaDjSl0
夜中、テントから出て急流を覗き込んだ。

急流の中、数知れない動物が流されもせず、水面から
頭を出していた。
身動きもせず、牛や馬、山羊、鶏、犬などが水に漬かっている。
流れが乱れるわけでもない。
激しい流れの中、多くの動物の頭が静かにあるだけだった。

息を呑むとか、不気味とか、そういった感覚ではない何かが
胸を打ち、涙がこぼれそうだった。

頭だけの動物たちが静かに動き、桃の木の後ろにある穴に消え、
やがて全ての動物が穴に入った。
桃の木から小さな実をもぎ、穴の中に投げ込もうとした。
穴の中には何もいない。
動物の臭いさえない。

投げ込もうとした実を、そっと穴の奥へと転がした。
何かが心のどこかを満たし、今度こそ、涙が溢れた。

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