山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

火事で全焼した別荘の風呂

      2016/12/25

606: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/02/04(土) 01:21:53 ID:jNp+XJEC0
静寂を売り物にした高級リゾート地として開発された、山間の
その土地には、広い道路が一本、背骨のように縦貫しており、
道路から見えないように建てられた別荘に向かって、肋骨のような
小道が伸びている。

一本の小道に一軒の別荘。
火事で全焼した別荘が一軒あるが、焼け跡は放置されたままだ。
オーナーがどうなっているのか、管理会社がどう関わっているのか、
裏では色々あるのだろうが、道路からも隣家からも見えないような
場所のことでもあり、林の中、朽ちるに任されている。

焼け跡には風呂がある。
タイルで丁寧に作られた風呂は、真っ黒に煤け、陽にさらされ
風雨に打たれ、夜露に濡れ、とどのつまり、埃まみれだ。
月夜、その風呂には、自殺した女が入浴しているという噂もある。
その別荘で自殺者があったかどうかなど、誰も気にしない。
無責任に、そうした噂だけが広まっている。
決して、入浴している女を見てはいけないともいわれる。

ハイキングがてら、面白半分にその別荘まで行った者がいる。
風呂の脇にテントを張ろうという計画だったが、煤けた風呂が
不気味で、何となく焼け跡が見えにくい場所にテントを張った。
無論、違法行為だったろう。
月は冴え冴えとし、林の中は明るい。
ひとりが風呂を覗きに行こうと言い出した。
全員で行っても面白くないので、一人一人、別々に行ったらしい。

607: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/02/04(土) 01:25:43 ID:jNp+XJEC0
交代で出かけ、全員が風呂を覗いたはずだったが、実は怖くて
風呂まで行かなかったとひとりが白状すると、俺もそうだと
言い出す者が出て、結局、本当に月夜の風呂を見たのは
ひとりだけだったことが分かった。
風呂を見たひとりは、何も語らなかった。

翌日、山でそのひとりが消えた。
何日たっても見つからず、彼らが辿った道をさかのぼり、
違法と知りつつテントを張った別荘地まで捜索されたが、
やはり見つからない。
捜索は打ち切られ、公式には行方不明とされた。

数ヶ月後、彼の遺体が発見された。
例の別荘地、例の風呂の中、水死体となっていた。
発見したのは別荘地の管理会社の社員で、通常の巡回業務の
途中、異様な臭いを感じて発見したと説明した。
それまでの巡回では、臭いも遺体もなかった。

水死体という表現に過不足はない。
真っ白にふやけ、警察官が腕や肩に触れると肉がずるりと剥け、
水がしたたるほどだった。
煤けて埃が分厚く積もった風呂から、こんな遺体が発見されるなど
おかしいと誰もが思った。
とりわけ、警察がそう思ったが、結局、何も分からなかった。

風呂は、森の中で煤けている。

コメントする