学徒動員で千歳に行っていた父の夢枕に、兄がたった
2017/04/04
えー・・・・ちょっと私的な事を含むのですが、気持ちの整理をつけたいので
書かせてください。
私の父は、昭和三年生まれ。戦前派です。そんな父が、このGWに私を
呼び出しました。「お前に見せておきたいところがある。ちょっと付き合え。」と。
実家で父を車に乗せ、言われるまま本家に向かいました。ただし、本家ではなく、
その裏山入り口へ。いい年してますが、さすが先輩ハンターでして、その
山道を私を率いてどんどんのぼっていきました。
途中、きょろきょろしたかとおもうと脇へ飛び込んでいきます。道なんてありません。
30m位藪コギしたでしょうか・・・・白い石がみえました。苔で白っぽく見えたのですが。
その石を両手で撫でながら、親父が話し始めました。
人間魚雷「回天」搭乗員の訓練中に死んだ兄のこと(これは聞いてました)、そして
その兄が、夢枕で弟(=私の父)に託したもの。
優しく笑いながら、話しかけてきて・・・・いつのまにか、(戦前に)一緒に遊んだ
裏山の秘密基地(白い大きな石のところ)にいたこと。
叔父は、「親父おふくろと、兄弟を頼むよ。俺はもうだめだけど、お前は長生き
できるそうだから。この場所で一杯遊んだな。家に帰ったらここに来い。お前に
渡したいものを置いておくからね。頑張るんだぞ・・・」という意味のことを言って、
じっと親父を見つめたそうです。そのとき、夢から醒めたと。
叔父の訓練中の死亡連絡が、実家から届いたのは二日後。
その後、すぐに浜松へ動員先が変わったそうで・・・・。移動途中、実家へ寄れた
父は、約束?を守るべく秘密基地にすぐに向かったところ。
石の上に、短剣が。
元は銘刀だったものを、叔父と父の二人が悪戯して、剣先一尺ほどで折って
しまったものを、出征するにあたって、懐刀として誂直したものでした。
錆びることも無く、白鞘から綺麗にぬけた刀身をみて、父は号泣したそうです。
その話をしてくれた父は、私にその短剣を渡しました。
「あの時代、みんな精一杯に生きたんだ。その想いだけは、素直に受け止めて
ほしい。」
父の涙をみたのは、生涯二度目でした。一度目は実母の葬式の時でした。
急で、なおかつ目的も知らずにつれていたかれた為、線香も水も持っていませんでした。
手持ちのタバコに火をつけて、たむけのかわりとしました。
怖くも無い話で、申し訳ありません。