夏にカブトムシを小学生だった二歳下の弟を連れて取りにいったとき
2015/12/19
少しながいですけど、私も話を、、、。
子供のころ住んでいた家は集落の一番はずれで裏は里山でした。
家から100m程離れた所に数本のクヌギの木があり、毎年夏にはたくさんのカブトムシを採ってました。
20km程はなれたS市のペットショップにもっていくとオス30円、メス10円で売れ毎年2万円位稼げましたので
それは夢中で朝早くから夜遅くまで採りまくってました。
ただ夜の山は不気味なので、当時小学生だった二歳下の弟を連れていくのですが、
毎回異常に恐がりまして
「頭の無い人が歩いてるから嫌だ、なんでにいちゃんにはわからないのか」
ええ、今でも弟はすごく霊感が強いのです。
「そんなもんいるか、あれは何かの動物が歩いているの、こんど売ったら前から
ほしがっていた釣り竿買ってやるからいくぞ」
ぶんなぐってでも連れていきました、やはり怖かったので。
ただ、なまくらな私にも聞こえてはいたんです、ざく、ざく、と熊笹を掻き分けるまぎれもない、
2足歩行でしかない音は、、、。
続く
「おばけなんていないから、今日は母ちゃんが一緒にいくからケンカやめなさい」
三人で山へ行き、さあ捕まえようとすると、やはりざく、ざくと歩く音がするのです。
「ほらね」と弟。
「帰るよ」と母親の一言。
家に帰ると母が江戸時代に近所で侍同士が争って死人がでたと母親の爺さんからきいたことがある、
また、近所の何軒かが、家の周りを夜中に誰かが歩き回るとの理由で家を捨てたことを聞かされました。
そして夜には二度と山へ入らないよういわれたのです。
それでも親の目を盗んでちょくちょく山へいきました。
えたいのしれない足音よりも目の前の現金(カブト虫)が大事でしたから。
ある日出稼ぎから帰った親父が話を聞くと、クヌギの木を根こそぎ切り倒しました。
その日以来、貧乏で暇な普通の中学生の夏休みでした。
今でも親戚の家があるのでそこにいくことがありますが
昼でも何とも言えず陰気な所で我が事ながら、よくもまあ夜にいけたものだと思います。