東北のある山奥で道に迷った時、古ぼけたトンネルがあった
2016/04/06
夏も真っ盛りのある日、東北のある山奥で道に迷った。
日も暮れかけて途方にくれながら歩いていると、ぽっかりと暗い穴がみえてきた。
それは赤レンガを壁材にし、漆喰だかコンクリで固めた電気も通ってない古ぼけたトンネルだった。
どうにも気味悪く怖気が付いたが、覚悟を決めて入った。
瞬間冷たい空気が身を包む。
外が暑かったためか、暗闇の中でなぜか安堵した。
暗くて前がみえないので壁伝いに進んだ。
数メートル進んだときだ、壁に伝わせていた手がなにか暖かい物をつかんだ。
ハッとして手を引っ込める。
それはどう考えても人のどこかの部分だった。
思わず呼びかけたが、返事は無かった。
暗闇の中途方にくれたものの方々の態でトンネルを抜けた。
すぐに山里に出る道を見つけて人里に戻れた。
里にあった飲み屋でさっきあった事を女将に話すと、
何とも勇気があるもんだ。
と褒めてくれた。
理由を聞くと、言うと良くない事になると教えてもらえなかった。