人面果
2015/08/09
一人で山歩きをしていた時のこと。
休憩しようと荷物を降ろすと、背側に何かがくっついているのに気がついた。
まだあまり熟れていない、何かの果実のようだった。
薄気味の悪いことに、実の表皮にはまるで人の顔のような凹凸が浮き出ていた。
その口に見える部分で、ザックの紐に噛み付いていたらしい。
どこで取り付かれたのかは、まったく分からなかった。
物好きな彼は、人面に触る気がしなかったこともあって、その果実をつけたまま
山歩きを続けたそうだ。
二つ尾根を越えた所で、ボトリという落下音が聞こえた。
振り返ると、人面果が転がりながら、下生えの中に消えていくところだった。
ああやって生息圏を拡げている植物なのかな。
そう思ったのだそうだ。
山爺っていうヤツでしょうかね。
おんぶお化けとか子泣き爺などの同類と言っていいかも。
>>155
人面の果実の話は、中国の方では割とポピュラーな怪談らしいです。
もっともあちらの場合、大抵最後は食べてしまうみたいですが(笑)。
怪談とか民話にも、お国柄って表れるのかもしれませんね。
そういえば、日本にも人面の柿でタンコロリンというのがあります。
びっしり人面がついた樹とか、山では出くわしたくないなぁ。
筒井康隆の短編にあったなー。食った人間の顔
そっくりな果実をつける南方の巨大食虫植物。
実を拾った奴が生首と間違えて村の墓地に
埋葬するとそこで成長、新たな犠牲者が出ると
その実がまた埋葬されて…の繰り返しで村が
全滅しちゃう。中国が元ネタだったのか。