数年前に廃校になった小学校に泊まることに
2016/01/15
舞台が舞台だけにここに書き込んでいいものか悩んだんですが、
そっち系のスレもなさそうだし、まぁ、いいかな、と。
先に謝っときます。スレ違い気味ですみません。
小学生のとき、日高の自然の家が夏休みに10日(実質一週間ほど)
かけて150km歩き通すという企画をやってた。うちは親父が体育会系
なもんで否も応もなしに参加決定され、炎天下を足引きずりながら
歩く羽目になった。
その日は数年前に廃校になった小学校に泊まることになっていた。
相変わらずの太陽の下、左右に畑や放牧地を見ながら延々と丘陵地を
歩き続け、目的の学校に着いたのは15時を過ぎた頃だったと記憶して
る。荷物を置くとそれまでの疲れも忘れ、俺達は校内の探検を始めた。
木造校舎が珍しく、あちこち覗いているうちに、少し低くなった
場所にある体育館を発見した。扉は閉ざされていたが施錠はされて
おらず、簡単に開く。誰からともなしに「入ろうか」と言い出し、
そっと俺達は中に足を踏み入れた。
うるさく鳴いているはずの蝉の声さえ聞こえない。最初は恐る恐る
歩き回っていたが、次第にその雰囲気にも慣れ、走り回ったり床に
寝転がったりしているうちに、ふと、ステージ脇の用具入れの扉が
目に留まった。木製の簡素なもので、簡単に開きそうだった。皆を
呼び集め、いざ開けようと手を伸ばしたその時。
―――ぞくり。
背骨に氷柱を突っ込まれたような悪寒を感じた。思わず手が止まる。
そして、扉は『ギィ~~~』と軋みながらゆっくりとこっちに向けて
開き始めた。
一斉に悲鳴をあげながら逃げ出す俺達。陽の差し込む窓のところまで
走り、興奮した口調で話す。
「ビビったぁ~。何か、いきなり寒気がして、そしたらアレだもん」
「え?お前も…?」
「あ、それあたしも…」
その場にいた全員が、扉が開く直前、背筋が凍るような悪寒を覚えた
そうだ。その後体育館に行った別のグループの話では特に異常はなく、
ステージ脇の扉も閉まったままだったらしい。
結局、次の朝そこを発つまで、体育館は二度と覗かなかった。