若かりし頃、走り屋だったとき見知らぬ峠を開拓するべく深夜の山道をうろついていたら
2016/01/04
都会では峠が少なく、あってもすでに潰されているスポットばかりだった。
そして田舎へ転勤になった。周囲を山に囲まれた赴任先は、俺にとって極楽だった。
ある夜、見知らぬ峠を開拓するべく深夜の山道をうろついていた。
そこでスポットを発見した。数台が溜まっている。俺も参加した。
数本走った後、溜まっている人間とだべっていると、上のほうでスキール音がした。
やがて下りてきた一台が言った。
「アレが出たぞ」
皆は口々に言った。
「じゃあ帰りますか」「10日ぶりだね」「今日は遅いな」
そしてリーダー格の一人が、酒と塩と米をそれぞれ小皿に盛って
溜まり場の一角にあるボロい木の机に置いた。
「失礼しましたー^^」
彼は上の方に向かって軽く挨拶をすると、他の人間と一緒に帰っていった。
続く
みんな一斉に供え物と挨拶をして帰るのだ。
「アレとはいったい何なのか」
潰しやパトカーや近隣住民の類ではないらしい。
知っているであろう誰に聞いても、明確な答えは返ってこない。ただ
「もし見たら、おとなしく帰れ」という事は必ず言われた。
昼間に峠の周辺を探索してみても、神社仏閣は見当たらない。
自殺の名所でも心霊スポットでもない。
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結局、それが何なのかを知ることなく、俺はその地域から転勤した。
謎だ。