山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

全長は2メートル近いトンボ

      2016/02/02

408: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/06/26(日) 08:40:21 ID:b3wulKLs0
なんとなく流布している噂によれば、その谷間を歩く時は、できるだけ
斜面寄りを歩くように、との事だった。
かつて、首のない死体が発見された事がある。
切られたといえなくもない傷跡だったが、切り口の様子は、
いわゆる刃物によるものではなく、その首も見つからなかった。

日が傾きかける頃、その川筋に到着し、もう少し距離を伸ばしておこうと
川沿いに歩き始めた。
コウモリが一匹飛んでいるが、空はまだ明るい。

ぶぅん
妙な音がした。
羽音には違いないが、聞いたことのない音だ。
頭上、後ろから、細長い何かが姿を現し、コウモリに突進し、
通り過ぎるとコウモリの姿はなかった。
素早くコースを変え、高度を変えるコウモリを正確に捕食したらしい。
そいつは、そのまま高度を細かく、素早く変えながら川上方向へ
飛び去っていく。

トンボだ。
尋常なトンボではない。
全長は2メートル近いように見えた。

首のない死体が生きていた頃、彼に何があったか、突然頭にひらめいた。
できるだけ斜面寄りを歩けという注意の意味も。

409: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/06/26(日) 08:40:46 ID:b3wulKLs0
大型のトンボの中には、決まったコースを往復して、捕食するものがいる。
だいたいは昆虫だが、先ほど見た、あの巨大さ。
あのサイズともなれば、昆虫くらいでは腹を満たせまい。
この川筋、そこそこの大きさの生き物といえば、自分しかいない。

斜面に寄り添っていれば歩きづらいが、トンボは羽が熊笹や木の枝に
当たるので飛ぶ事ができず、捕食される事はない。
そして、頭を失った男はそうしなかったのだ。

川上から、トンボが来る。
斜面に寄り添って歩く姿が見つかったらしい。
速度がゆるみ、頭がこちらを向いた。
ぶぅぅぅん
距離、数メートル。
恐怖も手伝って、羽音が凄まじい。
そして、何枚かの刃物が組み合わされたような、その口。
あれで食いつかれたら、確かに不思議な切り口ができるだろう。
人の頭はトンボにとって、手ごろな高さでもあろう。

急加速し、飛び去った。
二度と姿を見なかった。

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出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1118674955/