山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

栃木と福島の県界山地でムササビ狩りをしていたら

      2015/11/02

783: 本当にあった怖い名無し 04/12/23 11:20:44 ID:Z0kcJNkb
これは叔父が病で入院した折、若い頃の話として父が聞いたものである。

叔父の生まれ育った鬼怒川の上流、栃木と福島の県界山地の話である。
昭和二十年代中頃、当時はムササビの毛皮が高値で売買されたため、
湯西川付近では毎晩のように「ももっか撃ち」を行う者が多かった。
その夜も叔父と友達の男は一羽を獲り、「これで五円にはなった」と
話しをながら、持丸山から芹沢に向かって帰る途中であった。
突如、左手の小さな尾根辺りから強い風が吹き出したような音が
ゴォゴォと響いてきた。
「随分強い風が吹き出したな」と思い、二人は突風を避けるつもりで
近くの大木の根元に腰を下ろして風の通過を待つことにした。
その時である。二人が風吹く音のする尾根の方を眺めて見ていると、
その麓の方から何やら二抱えもあるような太くて長いでっかい丸太の
ようなものが、ゴゥゴゥ、ビュウビュウと激しい音を立て、トンボ返り
を打ちながら大尾根に向かって登って行くのが目に入った。
時間にしたら五分位だったか、怪物はドッコン、ドッコンと地響きを
立て、尾根を駆け上がって向こう側に姿を消した。
その瞬間、「キィーッ、ギィーッ」と恐ろしい声で鳴いて、ひっくり
返って視界から消えた。
同時に先程まで響いていた不快な風音も途絶え、山は以前の静けさに
戻って来た。
それから二人は話もせず、一目散に山を駆け下りるとひた走りに走り
家に帰った。
その後、同じ時刻に怪物の通った小尾根の向こう側で猟をしていた
という別の二人の友達に話を聞いてみたが、両人とも風の音も怪物の
姿も知らなかったという。

「兎に角、凄い声だったぞ」と病床の叔父は語ったそうだ。

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出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1102945918/