特産品の工法伝授
その山深い寒村もまた、ごたぶんに漏れず日々の食べ物にも事欠いていたそうな。
ある日、京都のお坊様がこの村で一夜の宿を頼んできた。
話をしてくれた方のご先祖様が泊めてあげたそうですが、お坊様は大変感謝して
そのご先祖様に「特産品」の工法を伝授してくれた。
「これは金になる」そう思ったご先祖は、峠へと去っていったお坊様を追いかけると
「特産品」の作り方がこれ以上広まらないようにお坊様を山中で打ち殺してしまった。
「最後の一人まで、お前の一族を呪ってやる!!!」お坊様はそう叫んで絶命した。
江戸時代は藩の特産として、今日では工業製品に押されていたものの、「伝統工芸」として
その筋ではメジャーになった「特産品」を作っているのは、今もまだ話をしてくれた方の一族のみ。
その方のお父上は幼くして養子に出たのでこの工法については知らず、公務員になった。
話してくれた人もむろん知らずに会社員をやっている。
上の逸話は、里人なら誰でも知っている事で、村の歴史書みたいなものにも明記されていたが
本家筋が「ウチのイメージが悪くなる。そもそも、その坊さんがうちの先祖だという話を聞いた。
改訂しろ」と、役所や郷土史家に捻じ込んでいるらしい。
「俺が離婚したのも、その呪いだと思うんだよ。歴史を改ざんしても、呪いは解けない」と
その方は言ってました。 ・・・呪いなのかな?