猿の化け物の昔話
なるほど猿の化け物?をヒサルキっていうのか。
ではヒサルキ話をひとつ。
今は茨城県、昔は常陸国の那珂に戸村義広という武士がいた。
天文二十年(1551)というから戦国時代真っ只中の話だな。
この戸村氏は戦国時代の守護大名佐竹氏の一族で豪力で知られていた。
ある雨の降る夜、義広が親類の法事から帰る途中に山頂にある自分の城への
石段を登っていると、突然差している傘に非常な重みを感じた。
義広は少しも騒がず太刀抜きざまに傘の上を払うと
「ギャース」という声とともに何かがドスンと落ちてきた。
義広が灯をつけてみると、それは大きな猿の腕だった。
いきなり腕を落とされた猿はひさくって、腕を拾ってどこか山の中へ消えていった。
その後、この大猿が恨みからか戸村の村々に放火して回ったので、
村人は真言密法をもって妖怪を調伏し、社を造って祭ってやったという。
それ以来、この地域ではこの事件を契機としてサッペイ(猿っぺい?)という祭が
行事となり、村人の安全と災難除けを祈っている。
ちなみに切り落とされた妖怪の腕は夜な夜な光を放ち、那珂川の周辺を
ふらふらと飛び回っていると聞く。
すんません。
>いきなり腕を落とされた猿はひさくって
「ひさくって」ってどういう意味ですか?
これがヒサルキの語源だったりして。
自分の地方じゃ「ひさく」って言葉使わないので、ちと興味がわきました。
引越しの際、無くしてしまいましたが「遠山紀行」と言う本です
大正の初めに教育者の有志が現長野県南信濃村を訪れ、土地の風俗や自然、伝承などを聞き取りました
明治の初め(何年か記載があったが失念)遠山谷に二人の猟師が入り、鉄砲にて狩猟を行っていた
(猟師の氏名、住所が書いてあったが失念)
しばらく猟をしていると突然篠(竹)の藪からから六尺余りの上身を現した山男と出会った
山男は赤松の皮の色をした毛が総身に生え揃い、猟師を見るとニヤリと歯を見せた
猟師は恐ろしくなって鉄砲を放つと山男は崖を転がり落ちていった
考察
このあたりで篠と呼ばれる竹は笹が多く、およそ1.5mほどの高さ
山男の身長は3メートル程と思われる
南信濃村を一山越えれば静岡県磐田郡
しっぺい太郎のヒヒ退治の伝説の残る地域
書かれた時期から見ると事件発生から20年ほどで聞き取っている
これもヒサルキなのでしょうか?