綺麗なお姉ちゃん
子供をつれて森林公園に行った時のこと。
その公園の外れはダムにつながっており、遊歩道で周囲を回ることができる。
畔のベンチに腰掛け、娘と二人でのんびりと水面を眺めていた。
突然、娘が彼の腕を引っ張った。
「綺麗なお姉ちゃんがいるよ」
綺麗なという単語に反応して見回したが、あたりには誰一人いなかった。
娘は真面目な顔でダムの方を指差している。
彼は娘が示す方向に目をやった。
赤毛のショートカットで、若々しい美人が笑っていた。
ダムの真中で、首から上だけを水上に出して。
彼と目が合うと、女性は口を吊り上げて、ニマっと笑いを深めた。
口元から異様に長い、尖った犬歯がのぞいていた。
次の瞬間、首は水の中に姿を消してしまう。
夢かとも思ったが、確かに水面には、波紋が広がっていた。
彼は娘を連れて、すぐに帰宅したそうだ。
出典:http://hobby5.2ch.net/occult/kako/1084/10843/1084366168.html