金髪の子供
また六甲山に関する話なら聞いてきました。
体験者は以前通ってた塾の講師です。
もう6年も前の事。
先生がまだ大学生だった時、友人たち数人で六甲山に
ドライブに行った。
何度も走った勝手知ったる道のはずだった。
だが、山の中腹辺りに見慣れない建物が見える。
古そうな日本家屋だ。
「こんなとこに家なんかあったっけ?」
「見たことないけど・・。前にあった木が切られて見えるようになったとか」
とりあえず建物の前まで行ってみるか、という話になり、
車は細い沿道へと入った。
家の前まで行ってみると、草は生い茂り、窓ガラスは割れ、
どう見ても人が住めるような所ではない。
家の外側をぐるりと回ってみる。
屋根から草が生えており、人が住まなくなってからかなりの時間が
経過していることを窺わせた。
突然友人が叫んだ。
「なんや、どうした?」
友人は破れた窓の1番下、床のすぐ上を指差した。
何もない。
「今なにかそこからのぞいとったんや!」
「狸かなんかじゃないの?」
「違う、そんなんやなかった。・・・人間みたいに見えた。」
先生は友人が指をさした辺りから、家の中を覗いて見たが
日本家屋には似つかわしくない、洋風の椅子が1脚見えただけで
他には何もなかった。
友人は必死に自分が見たものを主張するが、誰も到底信じられない。
「怖い怖いと思ってるから、なんか見えた気がしただけやろ。」
そのうち友人は、自分を信じてもらえない事に腹を立て始めた。
しかたなく、皆は玄関の引き戸を開けて中を覗いて見る事にした。
取っ手に指を掛ける。
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土間も畳も、何か金色に光る物がザワザワと動いている。
あっけにとられながらもそれをよく見ると、
それは全部金髪の子供だった。
床を覆いつくすほどの子供、子供、子供。
隣にいた友人がヒッ、と声を漏らした瞬間、
ザッッ
子供達が一斉にこちらを向いた。
「ぅわーーーーっ!!」
途端に皆弾かれた様にその場から走った。
急いで車に乗り込み、車を出した。
助手席からバックミラーで後ろを見ると、
その家の窓から玄関から金色の光が漏れているのが見えた。
「なんやあれは!」
友人が叫んだが、誰も答えられる者は居なかった。
先生はそれ以来、六甲山には行っていない。
一緒に行った友人は1度そこに行ってみようとしたが、
家どころかそこまでの沿道さえ見つけられなかったという