山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

いごま塩頭の男がそこに立っていたのだが、そいつの目玉がたった1個だった

      2016/02/04

480: N.W 2005/06/27(月) 20:30:12 ID:Njoligy20
今は昔。
頃は夏。遠縁の田舎へ連れて行ってもらった時の話。

俺が黄色(小坊)2年、弟が幼稚園の時。
場所は岐阜県。他県と接する山間の村で、今回はちょっと差し障りがあるから
そこまでしか言えない。ごめん。

〈その1〉

俺たちは山の中腹にある神社の境内でセミ採りをしていた。近所の子供たちは
勝手知ったる場所だから、ずっと奥のへ散らばっている。
いくら夏でも、日暮は何となくわかる。もうじき誰かが「帰ろうぜー」と言い、
二言三言、言葉を交して家路を辿らねばならない。まだ1匹も採れていない弟は、
網を握りしめ、セミの声のする辺りを一生懸命睨んでいる。俺に任せればすぐ
2・3匹は採れるのに、どうしても自分で採りたいらしかった。
俺たちの背後から、誰かの足音がした。
隼人か圭一だろうと思ってふり向いた俺は驚いた。
茶色いオヤジゾウリにグレーのズボン、青っぽいジャンパーを腕まくりしている、
短いごま塩頭の男がそこに立っていたのだが、そいつの目玉がたった1個。普通
2個並んで存在しているはずの場所に、10センチくらいのアーモンド型の目玉、
そいつがたった1個しかなかったのだ。
人見知りの激しい弟は、“知らない、変な大人”の出現に怯え、俺の背中に隠れる
ようにしっかりしがみついている。
しかし、不思議と怖さは感じず、それより、なんだか懐かしい、昔引越していった
近所の人に再会したような気持ちだった

481: N.W 2005/06/27(月) 20:30:49 ID:Njoligy20
そして、驚いたのは俺たちだけではなかった。
「おっ?」
この単眼オヤジも俺たちを見て、何か思いがけないモノを見たような顔をしたのだ。
何でコイツが驚くのか?訳がわからず混乱する俺たちに、単眼オヤジは優しく言った。
「一緒に帰るか?」
?????帰る???どこへ?????
錯乱する俺に代って即答したのは弟だった。
「イヤだ。まだ遊ぶ」
目の前の怖さより、セミへの執着の方が勝ったらしい。
単眼オヤジはあっさり「そうか」と頷き、神社に向って歩きかけたがふり返り、
「早く帰らないと、ヒトに捕られるぞ。気を付けな」
さも心配げにそう言って神社の裏へ姿を消した…

俺たち兄弟が単眼オヤジに会ったのは、後にも先にもこれっきりだ。
あの時、ヤツは一体どこへ俺たちを連れて帰ってくれようとしたのか。
弟と時折その話をするが、いくら考えてもわからない。
そして一番わからないのが、単眼オヤジは俺たちの事を何だと思って声をかけたのか。
今、もし単眼オヤジに会えるなら、あの時の事を酒でも飲みながらじっくり話を
聴いてみたい。そんな事を考えている。

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出典:http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1118674955/