うるせぇよ
2015/08/30
私の話
とある武家が逃れてきて村を作ったという、山深い場所。
その村にある、歴史ある旅館に泊まった時の事。
旅館は茅葺の大変趣のある作りでした。
朝の9時ごろ、朝食をとってゆっくりしていると、茅葺の本館に泊まっていた人は皆出発して、私たち一行だけが残っていました。
大広間の横の廊下を、その部屋に泊まっていた宿泊者について喋りながら通りました。
その時、耳元で
「うるせぇよ」
と、中年男性の声で囁かれました。
もしかして、まだ泊まってる人が居たのか?!
そう思って、そっと襖を開けるも、部屋はシンと静まり返って誰も居ませんでした。
声のした辺りの床の間には、大きな七福神の木彫りの像が置いてありました。
提供:しちふく さん