ポラロイド写真
彼は大学生の頃、OBとして高校の後輩の部活によく参加していたそうだ。
その夏も彼は後輩たちと一緒に、四泊五日の登山行をおこなっていた。
人数は少ないながら女子もいたので、引率にも気を使っていたという。
二日目の深夜、テントの外で眩い光が起こり、まどろんでいた彼は目を覚ました。
寝ぼけ眼で外に這い出すと、ガサガサと何かが足早に遠ざかっていく音が聞こえた。
何だ、何がいたんだ? 音を聞いた途端、彼ははっきりと覚醒した。
二つあるテントを確認すると、生徒も顧問教師も皆熟睡している。
寝られなくなった彼は、光のたかれたあたりを丹念に調べたそうだ。
乱れた夏草の上に、不気味な物が落ちていた。
勃起して節くれ立った男性器のポラロイド写真だった。
彼らのテントが背景になっているところから推測すると、どうやら先ほどの光は
カメラのフラッシュだったらしい。
次の日、彼は顧問にだけこの話をし、即行で下山することが決まったそうだ。
同行した後輩たちは、いまだにこの時の事情を知らないのだという。
でもそのつけた説明自体、気持ち悪い色があるような気もします。
特に最後の話。
困ったチャンな友人は写真を持ち帰り、我々仲間に見せてくれました。
要らん物なぞ見せんでいいわい!!
写真はその直後に別の友人が燃やしたのですが、何と言いますか、
一種異様な鬼気を感じました。
その変態野郎は、夜の山奥に一人で一体何をしていたのでしょう?
それもカメラを持って。下半身剥き出しで。
考えると限りなく怖い気がします。
何回か言われたことですが、やはり一番怖いのは生きている人間なの
かもしれません。