天狗さんの気にさわるようなこと
群馬県。明治の頃の話。
埼玉県与野市の講中の者が榛名神社へ参詣に行ったが、ある人が急にいなくなってしまった。
山中いたる所探したけどなつからずしかたなくみな帰ってきた。
何日かしてうすのろのような状態になってその人は帰って来た。
どうしたのかと尋ねると、天狗さんにつれて行かれたという。
天狗さんの気にさわるようなことを何かしたのかと問い質すと、参詣に出かける朝、生卵を飲んで行った、どうもそれが天狗さんの機嫌をそこねたようだと、いう。
それでその人は天狗さんの面を彫って榛名神社に奉納した。今もその面は残っている。
出典:現代民話考 1 河童・天狗・神かくし/松谷 みよ子