四国のとある深山に行った時
2016/01/13
親父に関する逸話は家にまつわる怖い話で出しているが
これは山に関するモノなのでここに書かせていただきます。
彼はよく一人で登山を楽しむのだが、15年ほど前、四国のとある深山に行った折りのこと。
その山には何度か行ったことがあるのだが、
いつも深夜近くまで藪のような獣道を漕いで歩き電力会社の小屋に寝泊まりする。
その日も真夜中近くに到着していつも通り、土間の真ん中に寝袋を広げて休もうとした。
しかしうとうと仕掛けるとなぜか遠くから女の子が数人で談笑する声が聞こえてくる。
お散歩かいな、ものすごい山奥の、しかも真夜中にモノ好きがいるもんやな、
などと考えて寝ようとするとまた声が遠く近くに聞こえてくる。
落ち着かないながらも強引に目を閉じると
今度は背中をごろごろと圧されるようで寝苦しい。
平らな土間の真ん中に寝ているのに、なぜか背中に当たるモノがある。
おかしな胸騒ぎがして寝袋をめくり
その下の踏み固められた土をそこらにあった板で掘ってみた。
するとオランダかどこかの絵皿が一枚、地中深くから出土したそうな。
ピンク色の地に白い帽子をかぶり、長いスカートの女の子の絵が手書きで描かれたものだが、
それを掘り起こして「なんか得した気分♪」と安心して眠り、
しっかり持ち帰って飾っていた親父。
その皿はいまだに実家の食器棚の下にしまってある。