変なうめき声
登山道に入り数時間、休憩を取りながら叔父達は軽く会話をし、登っていった。
ガスがかかっているのであまり早くのぼらずゆっくりと登山道の半分ほど
のところにいったところにあるキャンプ場まで今日は歩くことにしたそうだ。
叔父達かキャンプ場につくと周りは静まっている。(キャンプ場といっても草原だけの
殺風景な場所)ガスがキャンプ場を覆っているようで何か不気味だったという。
キャンプ場でテントを張り始めた時、あたりも少しずつ暗くなり始めた。
キャンプ場にはトイレと水のみ場があった。トイレは汚れた公衆トイレ。水のみ場は
学校の水のみ場のようで粗末だったという。
テントも張り終わり、夕飯の準備を始めた叔父はバックの異変に気づいた。
バックについていたお守りすべてがなくなっていた。
なぜなくなったのか、お守りには鈴もついており、落ちれば音が
でるはず・・・。キャンプ場に入るまでは歩いているときに鈴が鳴っていた
のを叔父は確かに聞いていた。
しかしバックにお守りをつけるための布の出っ張りごと根こそぎ、そう、
何かに思いっきり引きちぎられた様に布の出っ張りとお守りが消えていたのだ。
叔父は少し考えたのち、頭の中でこのことを整理した。
「大丈夫だ。きっと木に引っかかったんだ。別に関係ないだろう。」
叔父は自分にそう言い聞かせたそうだ。そしてこのことも同僚の2人には
伝えず、夕食の支度を続けた。
このことが叔父になんらかの不幸を招いたということは間違いないと俺は思った。
秋の日は短い。
食事が終わったころ、キャンプ場はすでに闇につつまれていた。
いつのまにか、またガスがたちこめている。叔父は、何か得体の
知れない不安感を感じていたそうだ。
「そういえば、あの時もこんな感じだった…」
叔父は、そのときに限って外に座っている気にもなれず、
すぐテントにもぐり込むことにした。
そのとき、仲間が不思議な声を上げたそうだ。
つづく
仲間が不思議な声を上げた。どうしたんだ?と聞くと、
「おれのザックにお守りが!」
仲間のザックには、叔父がなくしたはずのお守りがしっかりと
くくりつけられていたそうだ。
「あのときと全く同じじゃないか!」
仲間の顔はすっかり青ざめ、「キャンプは中止して今すぐ帰るぞ!」
と言い出したそうだ。
づつく
>>371
>>372
なんでヨロシク・・。
やっと思い出した・・。
つつき
夕食の準備が終わり、叔父と同僚は夕食を食べ始めた。
そこで同僚の一人はおかしなことを言いだしたらしい。
「さっきから変なうめき声が聞こえないか。」
叔父もコレは気味悪くなりお守りのことを言おうとしたが同僚も
冗談で言っているのかと思い軽く否定した。
「そんなことはないだろう。気味悪いこと言わないでくれよ。」
その場で叔父と同僚二人はお互いの言ったことを聞き流した。
夕食を食べた後、火の始末をし、明日の登山に向けて叔父と同僚2人は
テントに入り眠りに着いた。
数時間、寝た頃。
不意に目が覚めた叔父の耳に何かが聞こえたらしい。
林、いや森の奥から何かのうめき声を。
男のうめき声・・いや。なにかえたいの知れない生物のうめき声のように
低い声だったそうだ。叔父は恐怖に襲われた。だが人というのは
恐怖に襲われると尿意にも襲われるようだ。
叔父は小便がしたくてたまらなかった。
叔父はうめき声を確かに聞いて恐怖にかられたが
小便をたしに仕方なくテントから出るとそのうめき声は
ピタリとやんだらしい。
嵐の前の静けさ?というものだったのだろう。
なぜかその時叔父はあの薄汚れたトイレが気になって仕方がなく
叔父は自然にあの公衆トイレに引き寄せられるように暗いキャンプ場
を横切り、公衆トイレの前まで歩いていった。
彼は公衆トイレに入った。
中はかなり湿っぽく、小便器が4つ。大便器がある個室が3つほどあったらしい。
叔父は左から2番目の小便器に立ち、用をたした。
その時である・・・。
背後に異様な寒気を感じた。
風はない。無風だ。全くない。
叔父は恐怖で体が固まった。
叔父の頭には「ここはヤバイ。逃げ出さなくては・・・」とただ浮かんだ。
だが、先ほどの背後に感じていた寒気を今度は後ろ斜めから感じるのだ・・・。
彼は頭の中でいいまでのことを整理しはじめた。
登山口でのあの感覚、お守り、うめき声、今のえたいの知れないがはっきりした
恐怖、、、、
斜めに感じていた恐怖も横から感じるようになった気がする。
叔父は顔を顔を動かすことを決心し、顔をそちらに向けた・・・。
「うぁ!!!」
一瞬叔父は悲鳴をあげた。
つづく
そこには女体全体のシミがあった。白目をむいた女のシミ、今にもシミではなく実体化
しそうなリアルなシミだったという。
叔父は公衆トイレから走って逃げ出し、テントに駆け込んだ。
その時である・・テント内は異様な雰囲気に包まれていた。
同僚2人が消えているのである。
つづく
朝飯。。。
「どこへ行ったんだよ!」
叔父は暗黒に染まる森に向かって叫んだ。
返事はない。
これはただ事ではない。だが携帯電話は持っていない。
ほかの登山者もいない状態で彼は孤立していた。
同僚のことが気になる・・・。
しかし、叔父が一番気になっていたのはあのシミだが・・。
そんな時、テントの外から音が聞こえるのだ。
“シャリ・・シャリ・・シャリ”湿った土をゆっくり進んでくる音・・・。
叔父はその足音が同僚のものではないと直感でわかった。
「俺がなにをしたって言うんだ!」
心の中で叫んだ。
叔父は寝袋に入りおびえていた。
テントの布を見ると、そこには、長い髪をだらりとたらした女が何か赤ん坊
らしいものを持って立ちすくんでいるシルエットが外に置かれたランタン
の光を通して見えた。
「うぁあ!!」
恐怖のあまり叔父は悲鳴をあげて失神したのだろう。
(このあとのことはあまり覚えていないらしい。)
つづく
男の声だ
「大丈夫ですか?」
どうやら恐ろしいものではないなしい。
「助けに来ました。レスキュー隊です。」
叔父
「え!?どうしてですか!?遭難なんてしていませんよ!?」
隊員
「なにを言ってるんですか。ここはキャンプ場じゃありませんよ。
廃村で何をしてるんですか!」
叔父は周りを見渡して唖然とした。
周りには朽ちた民家が立ち並んでいたのである。
叔父
「そんな・・確かにキャンプ場だったんですよ!しかも同僚の2人は・・。」
隊員
「同僚お二人は残念ながら川で遺体で発見されました・・・。遺体の状況は詳しくお話
できませんが全裸で発見されたそうです。私達にもどうしてかわかりません。」
つつぐ
叔父は医師になぜ1日でレスキュー隊が出動したのかと聞いたが医師からは
「1日?いや違いますよあなたは3日間遭難していたんです。」
つまり叔父は2日間失神していたのだ。さらにおかしいことがある。
同僚2人の死亡推定時刻は1週間前だったのである。
遺体の腐敗から見て間違いなかった。では叔父が見ていたのは誰だったのだろうか。
さらにあの女なんだったのだろうか。それは誰にもわからない。
だが一つ俺の叔父は昨年、ガンで亡くなった。その少し前、俺にこの話
を言った時、最後にこう付け加えた。
「今、俺が生きてるのが不思議なくらいだよ。お守りが身代わりになってくれたのではないのか。」
糸冬
半端なオチですまそ・・。
怖くないかもしれないけれど聞いてくれ。
俺のおじさんは宮城県に住んでいた。叔父は山登りが趣味で
色々な山に登っていたという。
そして彼が、その時登ったというのが某県の中級者向けの山。
叔父は会社の同僚2人とその山に2泊3日の予定で行ったそうだ。
山登り当日。山は濃いガスで覆われていて山登りをするためにくる車や行き違い
になる車もほとんどなかったそうだ。
山の中腹の駐車場で彼らは車を降り、登山用バックを背負い登山道に向かった。
その時、叔父は何かを感じたと言う。叔父の言葉ではよく俺には伝わらなかったが
俺にはその”何か”と言うものが期待や面白い、とかというモノではないことが
その叔父の口調で大体わかった。どちらかというと目に見えない何か、恐怖と
いうよりは不安?というものだったのだろうか。
つづく。