山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

山奥の井戸

      2015/09/20

私の釣りの師匠が若い頃に源流の岩魚を求め、初めての沢を
単独遡行した時の話です。

高巻き(そのまま沢伝いに遡行できない時にする迂回)を
したところ、斜面を登ったところの藪中に頑丈で重そうな
木の蓋をされた井戸を見付けたそうです。
いささか疲れていた彼は井戸の蓋に腰掛けて一休み。
握り飯を食べ、良い気分で得意な(私はそうは思いませんが)
歌を歌って暫く一人楽しんだ後、帰り道の目印を近くの枝に
結んで遡行に戻りました。

辿り付いた源流で良型の岩魚を多数釣り上げた帰り道、彼が
井戸のところまで戻ると何故か分厚い蓋がずれて井戸の口が
一尺ばかりのぞいています。

周囲に民家はおろか、通り道やその痕跡すらありません。
沢に先行者がいると解っているのに後を追ってくる釣り人は
居る訳ありませんから人の仕業であるはずもなく、動物の
仕業としても藪にその痕跡が無いのは不自然です。
藪に残る大きな生き物の痕跡は彼のものだけでした。
そもそも、何故そんなところに井戸が掘られているのか?
と言うか、本当にそれは井戸なのか。

急に怖くなった彼は蓋の上に岩魚を何匹も置いて急いで下山し、
以来、その沢には行っていないそうです。
源流の単独遡行は危険であるのですべきではありません。
が、遭難や滑落の他にも人知外の危険があるのかもしれません。

コメントする

出典:http://hobby4.2ch.net/test/read.cgi/occult/1074434150/