大黒様みたいな
炭焼き爺さんの昔話
そういや変な奴に会ったこともあったな。
紙芝居に出てくるような日本の神様みたいな格好しとった。
髪の毛を頭の両側でちまきみたいに結んで、大黒様みたいな白い着物着とった。
あと袋背負ってたな。
そいつがな、大したことない斜面を肩で息しながら登ってきおった。
子供でも駆け上がれるような斜面じゃ。
ワシは「大丈夫か?」って聞いたんじゃが頷くっきりで返事もできんようじゃった。
だいぶ疲れているようじゃったから小屋で休んでけて言うたんじゃ。
そしたら深々お辞儀してな、背負ってた袋の中から一掴みワシに何かかけおった。
なにやら白い粒でな、ポン菓子みたいなもんじゃったわ。
そんでまた歩いていってしまってな。おかしな奴じゃったの。