山にからかわれる
2016/12/26
さらに友人の話
百発百中の精度を持つ彼だが、その能力が全く働かなくなってしまった事がある。
それは霊峰とよばれるとある山に登った時のことで、彼は晴れると思っていたのだが、
激しい夕立にやられ、あげく霧に迷ってにっちもさっちもいかなくなってしまった。
おーい、おーいと情けない声で助けを呼んでいると、男の高笑いが聞こえたそうだ。
決して不快な声ではなく、楽しんでいるような声だったという。
ほどなくして霧は晴れて、彼は無事下山できたそうだ。
その後あらためてリベンジしたが、晴れると思った天気は季節外れの雪となり、
寒さに根をあげた彼はほうほうの呈で逃げ出した。
どうもその山にからかわれている気がする、と彼はぼやいている。