山笑う
2017/04/04
「山笑う」は春の季語だけどそれを実際に体験したから書いてみる。
春先、友人と八ヶ岳に登山に出かけた。
春とは言ってもまだ雪も多く残っていてちょっとした雪山登山だった。
雪が溶けかけて小さな若葉が顔をのぞかせていたりで寒かったけど微笑ましい
登山だった。
頂上まであと500mのところで少し開けた場所に腰を下ろしポットに入れた珈琲
とカッパエビせんで休憩。
頂上では酒を酌み交わす予定だったのでその前座。
一服して口から煙を吐いてると登ってきた下の方から「ズズズッズウウ・・・」と
地鳴りのような音が響いてきた。
小さな音だったのでどっかで雪崩でも起きたのか?と言う話になって気をつけなくちゃな。
と二人で話っていると音は段々近づいてきた。
確実に下から音は上がってくる。
温かい風が下からも登ってきた。
警戒してしばらくそこに留まっていたがもう音は100mぐらい下に空気が震えるぐらい
近づいてきている。
枝に残った雪がぱさっと落ちるぐらい轟音になっていた。
指にはさんでいた煙草が指を焦がしそれで我に帰った。
「ぶわぅううううんんん!!!!!」
もの凄い圧力で空気の塊が二人のあいだを通り抜けその音が辺り一面にこだました。
雪が一斉に枝から落ち、少し雪に埋まった。
雪から荷物を引っ張り出して二人で顔を見合わせて首をひねったが訳が分からない。
怖くなったので下山する事にした。
頂上で呑む予定だった日本酒の小瓶と缶ビールを置いてきた。
なんとなく二人ともそんな気持ちになったのだ。
なぜか少し温かくなった登山道を早足で下山した。