山のごちそう
2015/07/20
爺ちゃんが小学生のころは前のお寺から次のうちのお寺の山を登るのにも一日はかかったらしい
お遍路さんの結構な数が行き倒れたりしてた時代の話だ。
うちのお寺に巡礼にきていたお遍路さんが途中で道を間違えて夜の山で野宿することがよくあったらしい
そういう人が行き倒れないようにじいちゃんとその兄貴は学校から変えてくる途中で山を見回ってたそうだ
若い坊さんたちも手伝ってたらしいけどな。
そんなときによく山の人たちがお遍路さんや爺ちゃん兄弟に「山のごちそう」を食わせてくれたらしい。
爺ちゃん兄弟は寺の跡取息子で寺と交流のあるオゲの人たちにかわいがられていたらしい。
「山のごちそう」とは季節によって違ったらしいが一番うまかったのは
冬のいのししのご馳走だったそうだ。いのししの食うものが冬の杉山では限られるから山芋とかしか食えないらしい
うちの山はお寺だから基本的に禁猟だからいのししが逃げ込んでくる。
逃げ込んでも杉ばかりで冬は芋しか食うもんがないからいのししの腹の中には芋しかないらしい
山芋の腸詰めだ。それをなべにして食うらしい。そいつをたまにご馳走してくれるのが
がきだったころの爺ちゃんの楽しみの一つだったらしい。