おみちびき
いつもは街を当てもなくふらつくのだけれど
たまには田舎のほうに行ってみるかってことで
俺はどんどん山の中に分け入っていった。
どれくらい走っただろうか。
青々とした八月の風景がゴーグルに映る。
轟音が真昼の静寂を切り裂く。エンジンの振動が心地よい。
道はずいぶんと細くなった。
黒いアスファルト、緑の山、蒼い空。あれは何だろうか。遠くに赤い点が見える。
赤い点に向かって飛ばす。それは鳥居だった。
俺はバイクを止めた。
鳥居の両脇には灰色の狐が二匹ちょこんと座って、こちらを睨んでいる。
草臥れた紅色の向こうには、やけに長い石段。
苔むした石段を包む木々のトンネル。気づくと俺は石段をを上っていた。
トンネルを抜けるとそこには小さな御社があった。
二礼二拍一礼。神様にはこうやって御挨拶するんだとガキのころ親父が言っていたっけ。
俺は御稲荷さんに挨拶を済ませると、木陰に腰をおろした。
太陽に照り付けられた体を、吹き抜ける風が冷やしてくれる。
眼下に何処までも広がる田圃。
いつも神様は、俺達の暮らしを影でそっと助けてくれてるのかもしれないなと
その時、ふっと思った。
もしかして、この御稲荷さんは
街の生活に流されて、自然の大切さを忘れている俺をここに、導いてくれたのかもしれない。
長駄文&スレ汚しスマソ。