歩いていると、前方から熊よけの鈴の音が近付いてきた
2016/03/13
504: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2005/11/15(火) 22:50:27 ID:O/xIqQ6J0
夜明け前に目覚め、テントの外へ出た。
明かりといえば、冴え冴えとした月と、小さくきらめく星だけ。
東の空は、まだ暗い。
ヘッドランプを点灯させる気にならず、トイレへ向かった。
じゃりじゃりと小さな足音を立てて歩いていると、前方から
熊よけの鈴の音が近付いてくる。
明かりといえば、冴え冴えとした月と、小さくきらめく星だけ。
東の空は、まだ暗い。
ヘッドランプを点灯させる気にならず、トイレへ向かった。
じゃりじゃりと小さな足音を立てて歩いていると、前方から
熊よけの鈴の音が近付いてくる。
小さいが高い音で、夜中ともなればその音は、結構耳に響く。
静かなテント場を通過する時くらい、音を立てないように
すれば良いのにと思っているうち、すれ違った。
音とすれ違った。
立ち止まると、すぐ後ろで音が止まった。
振り返ろうとして、思いとどまった。
きっと、何者も居ない。
歩き出し、背後で遠ざかる鈴の音を聞いていた。
トイレを済ませ、多くのテントが張られたテント場を
眺めながら自分のテントへと戻った。
テントのひとつから顔を出している女性と目が合った。
大きく見開かれた目。
たまたま目が合ったのではなく、ずっとこちらを
見ていたような目だった。
その目が俺を見つめ、さっとテントの中に引っ込んだ。
入り口のファスナーが慌しく、荒っぽく閉じられた。
背後で小さく高い、熊よけの鈴の音が響いた。