集落が見えたが梅雨の合間の晴れ間なのに、どの家も窓を閉めきっていた
2016/12/14
こっちに来て3ヶ月、ようやく周囲の環境にも慣れ、休日もまともに取れるようになった。
そんな土曜日の朝、身体を鍛えるのが趣味な俺は、ランニングコースにまだ足を踏み入れてない
F山の方へ行ってみようと決め家を出た。
緩やかとはいえ延々と続く昇り道、思っていたよりキツイ。それでも殆ど休憩をとらず2時間以上走り続けた。
すると、前方に集落が見えてきた。小川をはさんで30軒近い家が立ち並んでいる。
自販で飲み物でもと思い、集落の中に入ろうとしたとき、妙な悪寒に苛まれた。
土曜日の真昼間なのに人っ子一人見えず、車も通らない。
無音の状態が続く。かすかに水の流れる音は聞こえるが・・・
・・・今まで喧騒の街に暮らしていたんだ。田舎なら何も珍しくないだろう。
でも梅雨の合間の晴れ間なのに、どの家も窓を閉めきっている。
そして、ここは土地が安いのに、何故こんな辺鄙な場所に住んでいるんだ?という疑念が沸いてきた。
妙な圧迫感・・・それは僅かながら恐怖感に変わっていった。
俺は今きた道をダッシュ気味に走りだした。
だが、意外にも彼は表情を一変、真剣な顔で話はじめた。
「あそこは行かない方がいいですよ。うーん、詳しいことは言えないんですけどね・・・」
上司にも訊いてみた。
「ああ、〇〇か?あんた霊感でもあるのかい。あそこは正月でも餅は突かないんだよ。
何故って?餅が真っ赤になるからね」
それだけ話すと、これ以上は訊くなと言わんばかりに机の書類に目を落とした。
何故、いきなり餅つきの話?真っ赤??・・・あそこで何があったんだ???
後日、同僚の車に同乗していたとき
「今、通った空き地(集落から3キロ位離れた場所)、あそこにオートキャンプ場ができるみたいなんですよ。
地元じゃ売買はおろか、足を踏み入れることさえ嫌がるのに・・・」
※お目汚しスマン