山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

ク・フランが棲む場所

      2015/09/17

646627 ◆DxCY1HKXjs :04/02/09 01:09
あんまり聞いた話そのままだと雰囲気でないんで和風にアレンジしますね
怖い話というよりまず昔話をうpろうと思います

村の産婆や薬師が魔女と
怖れられた忌むべき時よりも更に遠い昔のこと

ク・フランが棲んでいたとされる神聖な霊山があった
そこはク・フランが昔、戯れに丸めた雷などが常に停滞していて
とても人の入れる場所ではなかったという
また誰も入っていこうとは思わなかった

しかし、二つ向こうの村ではその山に入ろうとしている若者がいた
彼は「誰も入ったことがないという事はそこは手付かずの獲物が豊富ということだ」
と思い、妻が止めても「妻は夫に意見する資格はない」と聞き入れず、彼の山へ入っていった

647627 ◆DxCY1HKXjs :04/02/09 01:10
雷雲が蠢き、辛い道であったが若者は山へどんどんと入っていった
すると、中腹辺りに差し掛かった頃、あるひらけた場所へ出た
そこは神の楽園を思わせるような豊沃なところであった
川にはミルクと蜂蜜が流れて美しいニンフが水浴びをしており、多くの牛達が放し飼いで戯れあい、
そして木々では小妖精達がお喋りに夢中になっている
若者が見とれていると、川辺にいたニンフが話し掛けてきた
「まぁ、ずいぶんと久しぶりなこと。新しいお客様ね。」と微笑みかけられ
若者は急に悪い事をしたと思い「すまない。私の立ち入れる場所ではなかったようだ」
「私はこの楽園に立ち入り、神の名を汚してしまった」と詫びた
しかしニンフは「そんなことを心配する必要はありません」
「あなたは自分の意志でここへ来たのでしょう?麓の村人は怖れて入山しない」
「あなたは勇敢で立派な若者だわ」と彼に優しく語りかけた
そして「ずっとここへ居てよいのです。牛と蜂蜜はあなたのもの」
「小妖精はあなたに付き従う。勿論私はあなたの全ての世話を見てあげる」と言って跪く
若者はいい気分になって暫しの間ならということで住み着くことにした。
すると最後に「但し、ここでは神霊の名はおろか、特にク・フランの名はみだりに唱えてはなりません」
「彼らを侮辱することになります」と強く言われ、若者は了承した

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648627 ◆DxCY1HKXjs :04/02/09 01:12
住み着いて暫く経ち、若者が森を歩いていると
なんと鬱蒼と茂った木々の裏に柘榴が大量に生っているのを見つけた
彼はここが冥界なのではと疑い、ニンフに「どうしても神霊に祈りを捧げたい」と申し出た
ニンフはどうしてもダメだと言うが、制止を払い若者は祈りを捧げた
すると視界にモヤがかかり、辺りがハッキリしてくると
若者のいる場所は荒涼とした冥界のように寂しい場所だった
そして目の前にいたニンフの顔は崩れ、みるみる内に赤黒い悪魔の顔へと変わっていった
若者は驚き、一目散に下ったが道が全くわからない
そして後ろからは悪魔が信じられない速さで襲い掛かってくる
若者は「雄々しきク・フランよ!あなたの山に悪魔が巣くっています!」
「そして愚かな私はそれに追われています!あなたが噂通りの蛮勇であるなら」
「どうか私に力を貸してください!」
若者がそう叫ぶやいなや、霊山の天で停滞しているはずの雷が一筋落ちてきた
649627 ◆DxCY1HKXjs :04/02/09 01:15
それから数ヶ月後、あの若者の妻が一人きりで暮らしているところ
夜中に突然ドアを叩く音がした
誰かと思い尋ねるとあの若者だという
とっくに死んでしまったものと思っていたので妻は大喜びでドアを開けた
若者は青白い顔をし、頬はこけていたのだが明るい顔で妻を抱きしめた
「今まで済まなかった。寂しかったろう。」と言い、腰袋から何かの実を取り出した
「私はク・フランの霊山へ行き、そこで大変美味しい果実を見つけた」といい妻に食べろと言った
妻は「まぁ、赤黒くて変わった形をしているのね。でもあなたがそうおっしゃるのなら食べるわ」
と言い、果実にかじりついた。
すると「食べたな?」と若者は呟き、段々と彼の顔が崩れて醜い悪魔の姿に変わってしまった
「あの男は我々の国へ自ら足を踏み入れ、冥界とも知らず私に精を注ぎつづけた」
「身の衰えにも気付かず、逃げたとて我から逃げおおせるものか」
「お前も冥界の果実である柘榴を口にした。夫婦仲良く冥界で暮らすがいい」
それ以降、若者の妻の姿を村で見かけた者はいなく
妻の住んでいたところの木々には、赤黒く変形した奇妙な果実が生っていたという

長文駄文すみませんでした
うまく表現できませんでしたね
ここの主旨じゃなさそうな話書いちゃったし・・・

650627 ◆DxCY1HKXjs :04/02/09 01:18
そもそもク・フランが出てくるクセに唯一神信仰に似たような描写が
出てきたりと、結構直すのに大変でした
話し手の彼曰く「キリスト教も流入してきたからなぁ」
「昔はもっと違う描写だったかもしれない」とのことで
強引に納得させられたというか
しかし柘榴はちょっと違う宗派の某話だろうwと思いつつ
結構深く関わるのでそのままにしました

雷鳥さんみたいに簡潔に不思議な程度の話がいいんですかね?

673雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/09 22:06
>>646-650
ク・フランとはクー・フーリン (Ch Chulainn)と同一の存在でしょうか。
ケルト神話の英雄ですよね。なかなか興味深い話でした。
石榴というのは人の血肉の象徴として扱われることが多いようです。
鬼子母神が人肉の代わりに口にしたのも石榴でした。
また飛び降り自殺の死体のことを石榴と呼んでいたようないないような・・・。
そういう意味では、桃の対極にある果実なのかもしれません。
石榴にしてみれば「勝手なこと言うな」という感じかも。

石榴の意味するところ、補足。
雷鳥一号さんも触れられている血肉の象徴のほか、
(ギリシャ神話では石榴は酒神ディオニュソスの血から
生えたともいわれている)
西欧、東洋をしなべて永遠や豊穣、多産を象徴することも多い。
あと、不死とか。

石榴が登場している物語(鬼子母神やペルセポネ)の
裏をかいているような意味を持つのが興味深い。
ある種特殊な、聖なる果物なんだろうなと思います。

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出典:http://hobby4.2ch.net/test/read.cgi/occult/1074434150/