破れたガードレール
351 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/04/04 23:37
知り合いの話。
彼はガードレールなど道路施設の整備を生業としている。
峠道で車が谷に落ちた事故があり、その復旧作業をしていた時のこと。
その峠は交通事故が多いことで有名だった。
破れたガードレールを撤去していた彼は、何の気なしにふと下を覗き込んだ。
下は鬱蒼とした森になっていたが、そのここかしこから彼を見上げている白い
人影があったという。
はるか下のはずなのに、なぜか一人一人顔の表情まではっきりと見えた。
仲間の大声で我に返る。
彼はふらふらと谷に向かって足を進めていたそうだ。
ぞっとして、それ以降下を覗き込むのは止めたという。
多分、この峠の事故は減らないだろうな。
彼はそう思っているのだそうだ。