ホーム > Part54 > 外に出てはいけない日 2015/07/03 88 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2011/04/18(月) 20:24:14.68 ID:90R4Xh7N0 [1/4回(PC)] 仕事仲間の話。 山奥の実家に里帰りした折、義父の炭焼きを手伝うことにした。 幼い息子も行きたがったので、連れていくことにした。 義父は大層喜んだが、一つだけ妙なことを言う。 「今夜遅く、日付の変わる頃合には焼き小屋の外に出られないから。 トイレは早めに済ませておくか、我慢しろ」 「どうしてですか」と問えば「今日はそういう日だから」としか答えない。 興味を覚え、深夜まで起きていたが、特に変わったことは何も生じなかった。 少し残念に思いながら眠りについたのだという。 しかし翌朝、息子がこんなことを口にする。 「昨日の夜はお外ですっごい音がしてたね。象でも通ったのかな?」 「象は日本にいないし、大体が昨晩そんな音はしなかったぞ」 彼はそう嗜めたが、息子は頑なに、大きな足音が聞こえたと言い張る。 義父は「ほう、あれが聞こえたか」と少し感心したような声を上げた。 「僕には何も聞こえませんでしたが」と彼が困惑しながら尋ねると、 「まぁ見えたり聞こえたりしない方が良いかもしれん」とだけ返す義父。 大きくなった今も時々、息子はあの夜の話をする。 「あの音、親父だけ聞こえなかったんだよな」と嬉しそうに。 それを聞く度、何故か悔しくなるのだそうだ。 投票 0 1 コメントする Part54 雷鳥一号 出典:http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1302850900/
山奥の実家に里帰りした折、義父の炭焼きを手伝うことにした。
幼い息子も行きたがったので、連れていくことにした。
義父は大層喜んだが、一つだけ妙なことを言う。
「今夜遅く、日付の変わる頃合には焼き小屋の外に出られないから。
トイレは早めに済ませておくか、我慢しろ」
「どうしてですか」と問えば「今日はそういう日だから」としか答えない。
興味を覚え、深夜まで起きていたが、特に変わったことは何も生じなかった。
少し残念に思いながら眠りについたのだという。
しかし翌朝、息子がこんなことを口にする。
「昨日の夜はお外ですっごい音がしてたね。象でも通ったのかな?」
「象は日本にいないし、大体が昨晩そんな音はしなかったぞ」
彼はそう嗜めたが、息子は頑なに、大きな足音が聞こえたと言い張る。
義父は「ほう、あれが聞こえたか」と少し感心したような声を上げた。
「僕には何も聞こえませんでしたが」と彼が困惑しながら尋ねると、
「まぁ見えたり聞こえたりしない方が良いかもしれん」とだけ返す義父。
大きくなった今も時々、息子はあの夜の話をする。
「あの音、親父だけ聞こえなかったんだよな」と嬉しそうに。
それを聞く度、何故か悔しくなるのだそうだ。