山神様の祟り
炭焼き爺さんの昔話
ワシが一人で炭を焼くようになった頃にな、大きな山崩れで人死にが出た。
2つ3つ離れた町の御大尽が山を買ってな、材木用の木を切り出したんじゃ。
山には山神様の祠があったんじゃがな、きこり達は心得たもんじゃ。
山に入る前に山神様を祀ってな、山神様の斜面には手を付けなんだ。
木もまだ育たんやつは残してな。
じゃけんど御大尽はそれが気にくわんかったらしい。
大した賃金も払わんできこり衆に暇だしてな、新しい人足どもを集めてきよった。
そいつらがまた木の切り方もろくに知らんような奴ばかりらしかった。
そんで山を丸ハゲにしよってな、木を運び出そうとしたときじゃ。
大雨じゃ。風呂桶の底を抜いたような雨じゃった。
2時間も降った頃、人足が入った斜面が崩れたんじゃ。
20人近く犠牲になりおった。
きこり衆は山神様の祟りじゃと騒いでいたわ。
御大尽の方は20人も犠牲出したからな。
警察が入りおってな、何か見つかったんかの、捕まったらしいわ。