桜酔い
彼の実家の裏山には小さな公園があり、見事な桜の木があるそうだ。
大学生の頃、夜桜を楽しもうと、先輩は深夜に一人出かけたという。
街灯は薄暗かったが、桜は満開で十分堪能できた。
公園のブランコに揺られながら、カップ酒をちびちび舐める。
いつの間にか、公園の真中に小さい女の子が姿を見せていた。
嬉しくてたまらない様子で、軽やかに跳ね踊っていたらしい。
先輩はぼんやりと、しかし魅入られたようにそれを眺めていたそうだ。
なぜか、その後の記憶がはっきりしないのだと彼は言う。
気がつくと、家に帰って床についていた。
それから三日間、彼は原因不明の熱にうかされた。
事情を知ったお祖父さんから「桜にあてられたな」と言われた。
見てよい物とよくない物の区別くらいは付けろ、そう注意されたそうだ。
まぁボチボチと且つノンビリと書いていきたいと思います。
>>47
その地方では『桜酔い』などと呼ぶのだそうです。
お祖父さん曰く、娘の姿だったから先輩は助かったのだとか。
娘でなくそれが鬼の姿をしていたら、魂を取られてしまうとか。
うーむ、時に桜は幻想的なほど美しいことがありますが、
そういった美には別の側面もあるということでしょうか。
出典:http://hobby5.2ch.net/occult/kako/1084/10843/1084366168.html