山にまつわる怖い・不思議な話(山怖まとめ)

山の怖い話、不思議な話をまとめています。

覚(さとり)

      2015/07/07

覚(さとり)は、日本の妖怪の一つ。鳥山石燕による江戸時代の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に記述があるほか、日本全国で人の心を見透かす妖怪として民話が伝えられている。

江戸時代の中期に書かれた日本の百科事典『和漢三才図会』には、玃(ヤマコ)という名前の妖怪が紹介されているが、覚にそっくりである。玃は美濃の山中にいる猿に似た獣で、黒くて長い毛に覆われていて、人間のように二足歩行をした。人語を理解し、人の心を読むが害はなかったという。おそらくは、これが覚の起源なのである。『和漢三才図会』は、もともと中国明代の『本草綱目』を引用したもので、『本草綱目』には玃(チュイ)と呼ばれる妖怪が紹介されている。これは年老いた猿で、二本足で歩くなど、日本の玃(ヤマコ)とほとんど変わらない姿をしている。しかし、玃(チュイ)は人を玃(さら)うのが得意で、しばしば女性を玃って子供を生ませることからこの名前がついたという。そして、人の心を見抜くという能力も持ち合わせていない。ところが、日本に入ってきて、どうしてか人の心を読む妖怪になった。

漢字の「玃」という字は「かく」と読む。そこで、「玃(かく)」の代字として「覚(かく)」になり、「覚(サトリ)」になった。そこから人の心を見抜くという性質がうまれたのかもしれない。鳥山石燕も『今昔画図続百鬼』の中で「覚」という字をあてて猿のような妖怪を描いていて、

覚(さとり)
飛騨美濃の深山に玃(やまこ)あり。山人呼で覚と名づく。色黒く毛長くして、よく人の言(こと)をなし、よく人の意(こころ)を察す。あへて人の害をなさず。人これを殺さんとすれば、先その意(こころ)をさとりてにげ去と云

(出典:鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より)
と記している。

http://fantasy.kakurezato.com/encyclopedia/satori.html

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