山の神と戦う役目を持った一族
2016/02/24
山の神と戦う役目を持った一族がいる。
と言っても荒唐無稽な漫画やアニメの世界のようなものではない。
別に特殊な能力を持っているだとか、
特別なご神体の武器を持っているだとか、そういう物ではない。
神社の宮司みたいな仕事はしているが、いたって普通の家と、
平凡な人間の血筋だ。
その昔、里に恐ろしい化け物が迷い込んできたのだという。
里の人間は総出でその化け物を追い払おうとし、ついに山の中に追い込んだ。
しかし、どうしてもその化け物を殺す事が出来なかった。
以来、その里は化け物を山に封じた形で、化け物が山から下りてこないよう
見張っている。
その見張りと、山の神つまり化け物が降りてきた時に追い払うのがその一族の役目だ。
「ご先祖様は押し付けられたようなものだ」一族の長、つまり今代の跡継ぎは言う。
里の中で立場が弱いか何かで、嫌な役目を押し付けられたのだと。
「滅多な事は言えないけど、本当は化け物じゃなくてエッタとか咎人とか、そういうのを山に
厄介払いしたんじゃないのかな?」彼はそう言う。
事実、少なくとも彼の曽祖父の代から山から何かが下りてきたなどという事は聞かないそうだ。
しつこいようだが、あくまでも作り話。