足音
805 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/03/17 23:30
同僚の話。
山奥の集落で水道工事をしていた時のこと。
彼は水道引込の打ち合わせのために、各戸を訪問して回っていた。
その中に、異様に荒んだ感じのする家が一軒あったのだという。
何度呼ばわっても返事が無い。
何回か呼び鈴を押すと、やがて二階から下りてくる足音が聞こえた。
しかし、足音は玄関まで来るとピタッと止まってしまう。
玄関横にある小窓から中を窺ってみると、そこには誰もいなかった。
彼が首を傾げていると、離れた隣家の小母さんが声をかけてきた。
曰く、現在そこの家には誰も住んでいないという。
ちょうど一週間前に、奥さんが玄関で首を吊ってしまったのだ。
葬儀は身内だけでおこなったようで、家も既に売りに出されているらしかった。
私たちは工事の間、極力その家に近寄らないようにした。
作業員の話では、白い影が宅内を動いているのが、何度か見えたそうだ。