大きな鶏
知り合いの話。
雑木林の中の獣道を歩いている時のことだ。
下の沢の方から、何か重いものが斜面を駆け上ってくる音がした。
すわ猪かと手近の木に登った直後に、足音の主が現れた。
茶色の羽根を持つ、大人の背丈ほどもある鶏だった。
気が立っていたのか、あたりの木を手当たり次第に蹴りまくっていた。
やがて鳥とは思えない不気味な唸り声を上げ、上の尾根の方に走り去ったという。
彼のつかまっている木も傷だらけになっていた。
しばらくは木から下りられなかったそうだ。