とてもきれいなところ
子どもの頃、父と叔父、私と妹の4人で父の実家(山の中)のすぐ側を流れる川に
一度だけ川魚を獲りに行ったことがある。
一度だけ川魚を獲りに行ったことがある。
魚を追い、岩を越え下生えを踏みしめ、どんどん川を登っていく。
どれだけ進んだのか、ちょっと開けたところに出た。
どれ程の広さがあったのか、子ども時分のこと故定かでないが、8畳?10畳?
結構な広さがあったように記憶している。
木々が天井を覆い、右手と前方は岩肌が壁となっている。
前方の岩肌からは伝うように水が滴り落ち、川底には大きく平たい岩が
敷き詰めたようである。
水はどこまでも澄み、右手の木々の間からこもれ射す陽にきらきらと輝きながら
膝下を穏やかに流れ過ぎていく。とてもきれいなところだった。
そして、怖くもあった。
この山に主(ヌシ)とよばれるものがいるのなら、きっとここがその住処に違いない.
…そう思った。
ゴメンナンセェヨ、自分が怖かっただけの話ですた。