田舎のバス停
2015/10/05
今から15年くらい前の若い頃、オートバイで北海道ツーリングをした。
網走の隣にある東藻琴村に住む友人を訪ねたのだが、予定時間を大幅に
過ぎ、彼の家に着くのは夜中になってしまった。
途中途中で(携帯なんて持ってない頃だし)公衆電話から連絡を入れていた
ので、気のいい友人は起きて待っていてくれた。
東藻琴村への山道は、バスも通っているらしく、田舎独特の小屋掛けされた
バス停がある。
その一つを通過した時、沢山の人がバス待ちをしている気配がした。
小屋の中は薄明るく、初老の農夫や女子学生らしい姿の数人が
何かはなしている様子だった。
もちろん瞬時に通り過ぎたので詳しくは見えなかった。
その時感じたのは「田舎なのにこんな遅くにバスが走るんだな…」
ということくらい。
友人の家に着き、久しぶりの再会を懐かしみながら酒を飲んで、眠った。
翌日、網走に出るために北道を再び通った時、何か気になって昨夜の
バス停をのぞいてみた。
時刻表を見ると、夜9時以降の記載はない。
小屋の中には照明などもちろんなく、夜中に中が薄明るく見えることなど
あり得ないのに気付いた。
あの時見たバス待ち風の群衆は、なんだったのだろう…。