ヒル
71 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/09 13:27
去年の今頃、仕事で山へ入った。前日には雨が降った。
暑かったけど長袖シャツに軍手。首にはタオルを巻いて、帽子を被った。
その上で、防虫スプレーを全身に振りかけ、脚絆の隙間には塩を塗る。
暑かったけど長袖シャツに軍手。首にはタオルを巻いて、帽子を被った。
その上で、防虫スプレーを全身に振りかけ、脚絆の隙間には塩を塗る。
歩き始めて15分くらいして、足下の地面が波立つようにざわめき始めた。
道に落ちている落ち葉が、下から持ち上げられたかのように細かく震えている。
皆がそれを確かめるまでもなく歩みを早めた。
止まればあいつらに襲われることを知っているから。
あいつらというのは、吸血性のヒルだ。
体長10mmくらいの茶色いヒルが数百匹、数千匹、地面から霜柱のように伸び上がり、
木の葉の上からも様子を伺うように、ゆらゆらと体を揺すっている。
やっかいな毛皮のないヒトはヒル達の格好の餌食だ。
通りかかるヒトに飛びつき、柔らかい皮膚に到達したら円形の口腔で血を吸う。
血を吸って丸々と太ったヒルは、やがて皮膚から剥がれ落ちるが、
穴を穿たれた箇所からは、出血がなかなか止まらず、これが非常に痒い。
この日は2箇所くらい噛まれた。
同僚は10箇所くらいやられ、痒い痒いと脂汗を流していた。
別に生命に危険はないけれど、私が夏山で一番警戒するのはこいつらだ。